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熊本市立熊本産院存続についての申し入れ

2005年10月13日

熊本市長 幸山政史様


熊本市議会議員
上野美恵子
北口 和皇
廣瀬 賜代
益田 牧子

熊本市向山校区自治会連合会長
高木 一夫
熊本市春竹校区自治会連合会長
西田 正明
熊本市本荘校区自治会連合会長
中村 昭治
熊本市南地区校区防犯協会長、向山校区防犯協会長
池田 圭市
熊本市向山校区公民館館長
元主  富
熊本たばこ販売協同組合女性部長
池田希巳子
熊本市向山校区社会福祉協議会会長
瀬上 源次

春竹校区14町内自治会会長、熊本市中部第一民生委員児童委員協議会会長

西本 正信
JA熊本市女性部長
戸田 陽子

熊本市健康守る婦人会副会長、JA熊本市前女性部長・御幸支部長

田島 妙子
熊本市立産院存続を求める父親の会
南  義徳





 私達は、6月議会・9月議会の質問や質疑でも申し上げましたように、市立産院の廃止を急がれる理由を全く理解が出来ません。
  9月議会で明らかになった「新生児期母子サポートセンター」の問題点など以下理由を述べ、市立産院の存続を強く要望します。

1、当初の財政赤字を理由にした廃止理由がなくなったこと

 熊本市は、行財政改革推進計画で、財政赤字を最大の理由に、市立産院の廃止を打ち出しました。しかし、幸山市長は、『廃止は赤字だけが原因ではない』と繰り返し明言されており、第1の廃止の理由がなくなりました。
  また、市立産院の決算は、平成 13年度2億円だった繰り入れが、平成14年度には、1億8千万円、平成15年度1億3千万円、平成16年度は、9700万円へと減少しています。これは、母乳外来や24時間電話相談など市民サービスを強化する一方で、体制を見直し、人員や経費を減らすなど、努力を重ねた結果です。この間の市立産院「廃止」の報道などの影響で、出産件数が減少したことは、間違いありません。市立産院廃止を中止し、存続の方向を打ち出し、内容を更に充実すれば、経営の改善は充分可能です。

2、 市立産院が果たしてきた社会的・経済的な弱者に対する役割は、民間では代替できず、市立産院の役割は、これからますます必要です。 

 熊本市は、児童福祉法に基づく措置分娩が減少し、「市立産院の役割は終わったので、市民病院や民間で代替できる」と「市立産院廃止」を打ち出しています。しかしながら、 10代の妊娠やシングルマザーやDVなど経済的な困難を抱える女性に温かい手を差し伸べ母性を育み、早産予防でも立派な成績を収めている市立産院を廃止するのは、大事な宝をドブに捨てるのと同じです。産後うつや児童虐待の問題などでも母乳育児を通して予防的な役割を果たしており、役割は、終わったのでなく、これからまさに必要な施設です。
  民間の産婦人科開業医の 8割の先生方からも、存続を要望されています。民間で赤ちゃんにやさしい病院の認定を受けられた柚原先生は、「社会的弱者に対するノウハウがあり、実績を持つ産院の役割は大きい。産院の分娩数が年間300人に減っているというが、多くの社会的弱者が、産院で出産し、しっかりとした母親になっている。市はもっと産院の赤字原因を分析し、存続を考えなければいけない」と発言されています。慈恵病院の蓮田理事長は、市立産院が早産防止で、立派な成績を上げていることを評価し、「長期に療育の必要な脳性まひの6割は、早期産児とも言われており、早産予防は、この点からも極めて重要」と指摘されました。また、「経済的・精神的に困難を抱えた女性を心までサポートするためには、市立産院のように経験をつんだスタッフが必要」と強調しておられます。

3、 新生児期母子サポートセンター(文中では略してサポートセンター)は、「机上の空論」であり、完全なムダ使いです。

 私達は、新生児期母子サポートセンター予算案の 9000万円については、市立産院と比較して、市民サービスの低下になり、『行政改革』とはいえないと批判してきました。
  新生児期母子サポートセンターの業務として、@第1子の新生児母子訪問、A来所相談、電話相談、B日帰り産後ケア、C母子育児の啓発や研修があげられていますが、9月議会を通して、「机上の空論」であり、ムダづかいであることが、ますますはっきりしました。 

 @については、第 1子、2子とも、既に熊本市助産師会に委託して行なわれています。1件当たりの費用は、民間の助産師会の場合、2800円で行なわれています。ところが、サポートセンターで行なえば、1件当たり2万1000円となり、費用は約8倍もかかり、「行財政改革」にも逆行します。現在6割の新生児訪問が問題視されていますが、その主な理由は、第1子は全数訪問となっているものの、第2子以降は希望者に訪問することになっているためです。全数訪問に制度を見直せば、助産師会でも充分対応できます。
  Aについては、市立産院は、365日、24時間(年間8700時間)にわたる相談を受けていますが、サポートセンターの稼動日数は、279日、3487時間となります。市立産院への電話相談の実績では、サポートセンターが閉まっている午後9時から午前8時半までに約4分の1の相談をうけており、明らかに市民サービスが低下してしまいます。また、医師不在で医療行為が行なわれないため、医療が必要なケースは、市民病院を始めとした医療機関に紹介しなければなりません。この点でも大きな市民サービス低下です。
  Bサポートセンターでやろうとしている「日帰りケア」は、市立産院では、母乳外来を開設し、希望者には行なっており、入院のケアも医療上必要な場合は、行なっています。市のアンケートでは「産後ケア」については、「宿泊ケア」の希望者が多く、サポートセンターの「日帰りケア」では対応することができません。現在の市立産院で充分対応することができます。
  Cについては、WHO・ユニセフから赤ちゃんにやさしい病院に認定され、母乳育児の啓発・研修を行っているのが、市立産院です。医師・助産師・看護師の卵である学生の研修を行なっており、民間医療機関にも門戸を開くならば、母乳育児の実地指導を進めることができます。

4、熊本市南部地域での唯一の産婦人科病院である市立産院は、少子化の中で、貴重な存在です。

 市のアンケート調査でも、「身近なところでお産をしたい」のは、多くのお母さんたちの声であり、市立産院の地元の向山・春竹・本荘校区のみなさんも、お産ができる市立産院の存続を願っておられます。少子化とお産の一極集中で、この10年間で、お産を扱う民間産科医院は大きく減少しており、南部地域での唯一の産婦人科病院が市立産院であり、お産の「駆け込み寺」の役割を果たしています。開業医の先生からは、お産をお願いできるオープンシステムの要望も聞いており、是非検討していただきたいと思います。ソフロロジー分娩で全国的にも有名な松永先生は、「熊本市の特徴は、第 3次医療の市民病院と福祉的な分娩を受け持つ市立産院があることだ」とおっしゃっておられます。その特徴を大いに生かすべきです。

5、市民病院には、総合周産期母子医療センターとしての大きな役割があります。特に、NICUの充実は熊本県の課題であり、市立産院の廃止問題とは別の次元の問題です。

地域周産期母子医療センターが天草中央病院 1箇所と少ないため、熊本市民病院の総合周産期母子医療センターには、県下全域からのハイリスク児が集中しており、常に満床状態であり、3次医療機関としての機能を維持することは困難な状況となっています。

市民病院でのNICUの充実は、全県的な視点からも、確かに、大きな課題となっています。しかし、同時に行政に求められるのは、未熟児を生まないための「早産予防対策」の強化です。早産予防に大きな役割を果たしている市立産院の存続と、市民病院におけるNICUの拡充は、あれかこれかでなく、同時に必要なことです。

(私たちの提言)

 米国小児科学会は、母乳保育が乳児、母親、地域社会にもたらす利益に科学的知見の著しい進歩を受けて、満期産児と高リスク乳児の母乳育児方針声明書を発表し、病院、医科大学、地域社会、国家レベルで推進、保護、支援するよう奨励しています。
  日本においても、山口県光市では、昭和 51年から母乳育児に取組み、平成7年には、市議会全員一致で、「おっぱい都市宣言」を採択し、合併後の本年6月議会では、新宣言を採択し、官民上げて「おっぱいまつり」など様々な施策を展開しておられます。 
  熊本市には、民間を含めて、幸い、3つの「赤ちゃんにやさしい病院」があります。「赤ちゃんにやさしい分娩に対する医療機関の拡大」を真剣に探求するのであれば、「市立産院廃止」を取りやめ、山口県光市がやっているように「おっぱい都市宣言」を行い、母乳育児の拠点としての役割を果たすことを提案します。
  熊本市の新生児期母子サポートセンターは、あくまで「市立産院廃止」から出発しているため、「つけ焼刃的」なものとなっています。そのため、議会、市民からも反対意見が吹き出ています。このまま突っ走り、12月議会に廃止条例を提出することになれば、幸山市政に対する市民の期待は大きく裏切られることになるでしょう。 
  7万人近いみなさんの願いに応え、「市立産院廃止ありき」を取りやめれば、母子保健・福祉の展望を切り開くことができます。幸山市長の「市立産院存続」の英断を求めます。

(1)「赤ちゃんにやさしい病院」に認定された市立産院を存続し、母乳育児を広げる『拠点』とすること

(2)新生児期母子サポートセンターの設置はやめ、市立産院の機能を拡充すること(日帰り、宿泊産後ケアなど)

(3)新生児訪問については、民間医療機関、保健福祉センターとの連携を強め、ハイリスク児以外の第 1子・2子については、助産師会で実施すること

(4)市民病院における総合周産期母子医療については、熊本県の課題であり、市立産院とは切り離し体制を強化し、財政的な支援を県に求めること

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