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『熊本市自治基本条例案に対する議会からの修正案(試案)』についての意見

『熊本市自治基本条例案に対する議会からの修正案(試案)』についての意見

                        2007年1月16日

                        一歩の会 廣瀬賜代

 (この意見書は、私が特別委員会委員長に提出したものです)

1 修正案全体に対する意見

改めて言うまでもなく、憲法や地方自治法等で規定する地方自治の本旨とは、

住民自治、団体自治で構成されるものであるが、修正案を見る限り、住民自治を大きく後退させ、より団体自治に重きを置いたものとなっている。

・その象徴的な部分は以下の通り。

(1) 住民自治の基本となる「住民の参画と協働の理念」を全て削除された。

(2) 前文において、「市政運営の核となるべき理念と原則を明らかにする」ことを加筆している点

(3) 第1条において、条例制定の目的を、「熊本市のまちづくりに関する基本原則を定めることによって、熊本市にふさわしいよりよい政策の実現を目指す」と修正している点

(4) 第2条(定義)において、市と市民の条文を逆転させた点など

そもそも自治基本条例とは、憲法に謳われた主権在民の大原則を、地方自治

体の運営に反映させるため、市民に主権者としての自覚をうながし、またこれまで必ずしも整備されてはいなかった、市民が市政に対し主体性を発揮する方法を制度的に確立しようとするものである。

しかしながら、今回の修正案では 住民自治を大きく後退させており、これはもはや執行部が提案した「熊本市自治基本条例」の修正とは言えず、まったく別の条例の提案であると考えざるを得ない

特に、条例制定の目的として、修正案第1条(目的)で掲げるように「まちづくりに関する基本原則を定める」ことを主旨とするならば、条例の名称を「まちづくり条例」とすべきであり、後段にいう「よりよい政策の実現」を目的とした団体自治を主唱するなら、『市政運営基本条例』とすべきであり、今回の修正案は熊本市自治基本条例と呼ぶにふさわしくないものと考える。

そこで、市民のために、執行部提案の「熊本市自治基本条例」をさらによりよいものとして修正するのであれば、まずもって、住民自治の基本である「参画と協働」に関する理念や規定に関する条文は削除すべきではなく、特に、執行部案第三章『参画と協働によるまちづくり』については、熊本市自治基本条例の実効性を制度的に保障しようとするたいへん大切な部分であることから、再度検討の上、条例に盛り込んでいただきたい。

2 個別条文に対する意見

 1で示したように、第三章『参画と協働によるまちづくり』などの基本条例として必要不可欠な条文を復活させるなど、自治基本条例の修正案とすることを前提として、個別条文等に対する意見を以下のとおり述べる。

(1) 前文ならびに第1章について

@ 前文については、修正された構成から住民自治より団体自治を重視していると読めることや、加筆修正された文章は十分に練れたものになっているとは言いがたい。

A 第1条の目的については、前述するように修正案では自治基本条例とはいえない。

B 第 2 条の(定義)においても、市と市民の条文を逆転させたことで、住民自治より団体自治を重視する姿勢が現れている。

  また、全般的に骨子化を試みたといいながら、執行部案『ウ』を、わざわざ『ウ』『エ』と詳細化したのは蛇足であり、まちづくりの定義を削除した意図が不明。説明もない。また、『協働』の文言を拒否したのは、執行部に対する不信感の表れであり、『参画』を『参加』と言い換えたのは市民に対する不信感の表れと受け取れる。

*このようなことから、前文及び第1章については修正する必要を認めない。

(2) 第2章について

@ 表題については、まちづくりの定義がないところで『まちづくりの基本原則』を語っても意味不明である。 ((1) で述べるようにまちづくりの定義が必要 )

A 第5条の「発言内容に責任を問われない」は、第6条2項と矛盾する。そもそも『無責任な発言』を容認する条項自体が、社会常識として大問題。

B 第3条4項「市民は・・・市に求め、取得することができる・・・積極的に提供することに努める」とは、お代官様に対する領民の態度を命じているよう。

C 執行部案4条3項の、事業者等に対する言及を削除した意図はなにか?

 明確な理由がなければ削除する必要はない。

(3) 第3章について

@ 第6条1項の文言は、市民を市議会や執行部の下位に置いている印象を受ける。市議会は「市民によって代表者に選ばれた」のであり、執行部は「市民のために働くことを任務とする」立場であることを、再度認識するべき。

A 同条2項では、市民が自治の主体であることを謳うというより、「発言と行動に責任を持ち、まちづくりに取り組む」という責務のほうを強調しているように読める。

(4) 第4章について

@ 第8条の文言は、曖昧でほとんど意味がない。 ( 「本会議及び委員会などの議論について、市民に対し積極的に情報を公開するなど、わかりやすい議会運営に努めます。」など、わかりやすいものとするための具体的な行動を示すべき )

(5) 第5章について

@ 第10条では、市の執行機関は市民から直接の信託を受けているわけではない。『市民の信託を受けて』いるのは、市長および市議会(議員)であり、制度上、執行部は範疇にはない。

A 第11条の職員の職責への規定は、まずは、市民全体の奉仕者としての原則を記述すべきであり、修正案の規定は一部分にしか過ぎず不適切。

(6) 第6章について

@ 第12条は、合併協議を睨んだ文言のように読める。また、地方公共団体との関係において「・・・リーダーシップを発揮し・・」の表現はおかしい。全体として、執行部案のほうが適切。

(7) 第 7 章について

@ 第 7 章の表題は不適切である。表題は『行政運営』とでもすべき。

A 第 13 条については、執行部案では既に触れられており、これを削除し、改めてまちづくり参加条例を制定する規定を設ける必要はない。

B 第 14 条については、主語が欠落している。3項は蛇足と思われる。このようなことから、常設型の住民投票に関する規定を設けるのでなければ、あえて執行部提案を修正する必要はない。

C 第 15 条、第 16 条は下部条例に盛り込むべき内容にまで触れていて、基本条例としての整理が不足している。

D 第 17 条、第 18 条をわざわざ規定する意図は何か。

(8) 第8章について

@ 本条例の最高規範性を明確にしない意図は何か。

(9) 第9章について

@ 第 20 条は、執行部案の第 13 条『自治推進委員会』の機能を市長にゆだねており、住民自治の観点からの監視・点検機能を否定していて問題である。

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